ハムスターのニキビダニ症

ハムスターのニキビダニは非常に特徴的な形をしたダニの一種です。ダニと言っても吸血するわけではなく、毛根周辺に潜み、ハムスターの皮脂を食べて生活しています。ニキビダニは元気なハムスターの身体にも元々寄生しているといわれていて、全身状態の悪化や皮膚の免疫力が低下したときに発症します。ハムスターのニキビダニは身体がやや細長いDemodex auratiと寸胴なDemodex cricetiの2種が主に知られています。

図2-1
ニキビダニの一種 Demodex aurati

症状

脱毛がみられ、かゆがることがあります。

診断

皮膚検査によってニキビダニを検出します。検出率が高くないために繰り返しの検査が有効です。

治療

駆虫薬を投与します。複数回の投与が必要なことが多いです。

図2-2
ニキビダニの一種 Demodex criceti

かゆみをアレルギーと間違えて薬をあげると悪化することがあるため注意が必要です。

 

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フェレットの股関節形成不全

フェレットは柔軟性に優れた体型を有することから骨折や脱臼などの整形外科疾患は他の動物と比較して多くはありません。フェレットの股関節形成不全ははっきりとした原因は不明ですが、遺伝的な要因、成長期の栄養バランスの不均衡、加齢に伴う変形性骨関節症の進行などの関与が示唆されています。

 

症状

歩き方に変化がみられる、運動をしたがらない、足腰がふらつくなど運動機能に障害が出てくることが多いです。

 

※フェレットは骨や関節と関係のない様々な病気において「後ろ足がもたつく」症状がみられるので注意が必要です。

例:副腎疾患、リンパ腫、インスリノーマ、心疾患など

 

診断

主にレントゲン検査をおこなって骨や関節の異常を検出します。上記の疾病との鑑別のために他の検査が必要となることもあります。

P1090929
股関節形成不全のフェレットのレントゲン写真
P1090930
円の中の股関節は正常  矢印の股関節は異常です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

治療

内科治療は関節の変形によって生じる強い痛みを主に内服薬で緩和させる治療です。フェレットの股関節形成不全では内科的な治療で痛みをコントロールしやすいケースがほとんどですが、関節の変形が進行してしまう場合は外科的な手術が必要なこともあります。

 

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ウサギのツメダニ症

ウサギのツメダニ症は頻繁に遭遇するウサギの皮膚疾患のひとつです。

症状

主に背中~腰にかけて脱毛やフケが多く見られます。痒みはそれほど顕著でないことが多いです。

図1-2背部
ウサギの背中に見られた大量のフケ

 

診断

被毛の検査を実施してダニの虫体や卵を検出します。

図3ツメダニ卵
ツメダニの卵
図2ツメダニ
ウサギツメダニ

治療

一般的にダニ駆除剤が用いられますが安全性が確立していないものもある為に必ず獣医師の処方が必要です。完全駆虫には反復投与が重要です。

予防

他のウサギからうつるのが一般的ですが、長期の単独飼育個体に発症することもまれでなく、不顕性感染が示唆されています。

外出することがあるウサギは予防的に薬を投与しておくことも重要です。

 

 

 

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鳥の痛風

タンパク質の最終代謝産物を尿素ではなく尿酸として排泄する鳥類では痛風がみられることがあります。痛みだけでなく腎臓病に罹患していることがほとんどなので迅速な治療が必要となります。セキセイインコ、オカメインコ、コザクラインコ、ボタンインコに多い病気です。

 

症状

非常に痛みが強く、食欲や元気がない、脚を挙げているなどの症状がみられます。腎不全が進行している状態では突然死が起こることもあります。

 

検査・診断

顕微鏡で針状の尿酸結晶を検出します。また、腎不全の進行程度の把握には血液検査が不可欠です。

痛風結節
顕微鏡で見た針状の尿酸結晶

治療

尿酸合成阻害薬や輸液、抗炎症剤、食餌療法が有効です。特に腎疾患用療法食は非常に効果が高いことが知られています。

痛風治療前 (1)
痛風を発症したコザクラインコ  脚が腫れあがっています。

 

痛風治療後
治療一週間後の様子 腫れがひいています。

 

 

 

 

 

 

予防

図4 セキセイインコの痛風
セキセイインコの痛風 脚が痛みの為に挙がっています。

腎不全が進行すると予後が悪いことが多いために早期発見早期治療が最も重要です。「止まり木から落ちる」、「止まり木につかまりたがらない」などの仕草が見られたらなるべく早めの受診が推奨されます。

図6ペレット
腎疾患用の療法食 効果が高いことが知られています。

 

 

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ハムスターのイエダニ症

小動物ではダニの寄生が多発しますが、ダニの種類によって対処法が異なることがあります。ハムスターのイエダニは早急に駆除が必要なダニです。

 

症状

非常に痒みが強く、ハムスターが気が狂ったように転げまわって痒がることがあります。また、吸血性のダニのため身体の小さいハムスターでは致命的な貧血が起こることがあります。

イエダニ➀
体表上のダニ 肉眼でも確認することができます。

 

 

検査・診断

皮膚検査によってダニを検出します。

イエダニ➁
吸血したイエダニ

治療

適切なダニ駆除剤を用いた治療を実施します。ハムスター専用の薬はないために非常に慎重な投薬が必要です。

 

予防

イエダニは他の動物にうつりやすいという特徴があります。ヒトも例外でなく、「家族が痒がっていたので調べてみたら動物にイエダニがいた」などの例も珍しくありません。また、環境適応力も強くカーペットや壁の隙間に潜んでいて吸血時に寄生するやっかいなダニです。そのためケージの消毒も必要不可欠です。

 

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デグーの糖尿病

ペットとして飼育頭数が増えてきているデグーですが、本来、野生のデグーはアンデス山地の過酷な環境で生活しています。自然下では草を主食とし、他にも木の葉、樹皮、種子を食べて生活している完全草食性の動物です。飼育に関する情報が少ないため、種子類、果物、野菜、小型動物用クッキーなどの糖分や炭水化物などを食事として与えられていることがあります。デグーの糖尿病はその結果引き起こされるといわれています。またデグーは糖の代謝能力が非常に低いこともいわれています。

症状

食べているのに痩せてくる、多飲多尿、体重減少、食欲低下、脱水、白内障などの症状がみられます。重症化してくると命に関わることもあります。

 

診断

血糖値と尿糖の検査が有用です。

 

治療

血糖値を下げるインスリン療法が一般的であり、さまざまな治療法が試みられていますが、確立された治療法はまだ見つかってないのが現状です。

 

予防

デグーは甘いもの、クッキーなどのおやつが大好きですが、与えすぎないように注意し、チモシーなどの草を中心とした食事管理が糖尿病の予防につながります。さらに、草を食べることで歯が摩耗され不正咬合の予防にもつながります。

デグー

 

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モルモットの尿石症

モルモットの尿石症

尿石症とは腎臓、尿管、膀胱、尿道に結石ができてしまう病気です。

発生原因は明確にはわかっていない点もありますが遺伝的要素、不適切な食事、飲水不足、細菌感染などが考えられています。

膀胱結石
膀胱結石のモルモット

 

症状

  • 排尿の異常

尿によるお尻の汚れ、頻尿、血尿などが見られます。

  • 痛みに伴う症状

無症状なこともありますが、排尿時に悲鳴をあげたり、食欲の低下、体重減少、排便の減少が見られることがあります。

  • 全身状態の悪化

結石が尿道や尿管に閉塞すると腎不全や尿毒症をひきおこして非常に危険です。

尿道結石
尿道に結石が詰まっているモルモット         非常に危険な状態です。

検査・診断

レントゲン検査、エコー検査を行い、尿石の有無を確認します。腎不全が起きていないかをみるため血液検査が必要なこともあります。

腎結石
腎臓に結石が認められるモルモット

治療

結石の大きさによっては稀に自然排泄が認められることもありますが、モルモットの尿石症は薬や療法食の効果が期待できない為、外科的に摘出する必要があります。

摘出した結石
手術によって摘出した結石

 

 

 

 

 

予防

牧草を主食として、おやつやペレットを過剰に与えることを控え常に飲水ができる環境を整えることが大切です。また、細菌感染の予防のためにケージ内の衛生管理を徹底することも重要です。

 

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フィラリア症(犬糸状虫症)の予防について

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フィラリア症は蚊が媒介するとても恐ろしい寄生虫の病気です。蚊の吸血とともに体内に子虫が侵入し、最終的に親虫となって心臓に寄生します。犬で有名な病気ですがフェレットにも感染します。
犬では多くは慢性的に経過し心臓病を発症しますが、フェレットでは突然死を起こす場合がほとんどです。

この病気は予防さえしておけば決して罹ることのない病気ですので、必ず予防してあげてください。
予防には基本的に月1回の投薬(駆虫)です。
当院では以下の方法を採用しております。

  • 錠剤:月1回飲ませる薬です。 錠剤といっても小さなものなので、バイトなどを用いると投薬が容易です。
  • スポットオン:月1回 背中に滴下するだけです。ノミやミミダニにも効果がありますので外へお出かけする子や同居に犬や猫がいる場合にはこちらをおすすめします。

フィラリアの予防の注意点

  • フィラリアの予防薬は蚊に刺されないためのお薬ではありません。
  • 1ヶ月の間に体の中に侵入した可能性のあるフィラリアの子虫を、体に害が生じないうちに殺す(駆虫)する目的です。したがって1回飲ませたらその後1ヶ月間予防できるということにはなりません。
  • 地域にもよりますが、およそ4月末(または5月)から11月末(または12月)の間、合計8回の投薬が最も好ましいと思われます。
  • 蚊は窓の開閉の際にお家の中に入ってしまうために、お家の外にまったくでない子でもあっても感染の危険性は十分あります。

※ご不明な点は診察室で獣医師とご相談ください。

 

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ウサギの急性胃拡張

かつてウサギの消化器障害に起因する食欲不振の原因は「毛球症」と呼ばれ、ひとくくりにされていたこともありましたが必ずしも毛球だけが原因とは限りません。

当院では多発するウサギの消化器障害を「急性胃拡張」、「毛球症」、「鼓脹症」、「食滞・うっ滞」などと診断が可能な限り、すべて区別してお話しさせていただいております。
獣医学的な分類はされていませんので獣医師によって名称は異なることがあります。
なかでもこの急性胃拡張は短時間で症状が進行し、生命にかかわる恐ろしい病気であり、当院の統計では子宮ガンと並んで最も死亡率の高い病気のひとつです。生後半年のコでも10歳のコでも、雌雄関係なく突然発症がみられます。この病気こそ早期発見早期治療ができるかによってその後の明暗が分かれます。

症状

  • 突然の食欲不振
    「昨日まで食べていた」にもかかわらず急に食欲がゼロになることが多いです。
  • 突然の排便停止
    小さくいびつな便が少量排泄されることもありますが、便が一つも見られないことがほとんどです。
  • 激しい腹痛
    痛みのために「じっと動かなくなる」「せわしなく姿勢をかえる」「抱っこを嫌がるようになる」「歯ぎしりをする」などの症状がみられます。
  • 症状が進行すると低体温症状や痙攣が起こることもあります。

検査・診断法

急性胃拡張を発症したウサギのレントゲン像 腹部の半分以上を占めるほど重度に拡張した胃(矢印)
急性胃拡張を発症したウサギのレントゲン像
腹部の半分以上を占めるほど重度に拡張した胃(矢印)

問診、触診、レントゲン検査等で総合的に診断します。「いつから発症したか」が非常に大切なポイントなので、できる限り把握ができると迅速に治療を進めることができます。

治療

体液組成の調節のための輸液と鎮痛剤を用いた痛みのコントロールが必要です。常備薬として使われることの多い、消化管を動かす薬は状況によっては逆効果のこともあるため慎重にならなければいけません。

予防

ウサギの消化管は非常にデリケートであり、ストレスが強くかかったり低繊維の食餌によってあっという間に異常な発酵を起こし、機能不全に陥ります。良質な牧草を与えるというのは不正咬合の予防以外にも健康な消化機能を保つのに必要なことなのです。

 

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ウサギのエンセファリトゾーン症

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Encephalitozoon cuniculiという病原体がウサギに感染して様々な症状が引き起こされる恐ろしい病気です(略して「Ez症」などと呼ばれています)。驚くべきことに近年の国内における調査ではエンセファリトゾーンの感染率は全国のウサギの約60%にも及んでいるとの報告があります(注)。特筆すべきはこのデータには無症状のウサギも含まれていることであり、今まで何も病気の兆候がなかった元気なウサギが、突然発症する可能性があるということを示唆しています。

症状

症状は主に➀神経症状➁眼症状➂腎不全の3つに大別されます。
特に警戒しなければならない神経症状として最も代表的なのが斜頸です。重度になると姿勢保持ができなくなり、ローリングと呼ばれる運動失調が発症します。こうなるとほとんどのケースで食欲不振が生じますのでウサギが重篤な状態になることがあります。

※現在、様々な情報が錯綜していますが「斜頸=エンセファリトゾーン症」ではありません

診断

現在のところ、生前の確定診断は不可能といわれています。実際には血液検査やレントゲン検査、神経学的検査やエンセファリトゾーン抗体検査などを組み合わせて診断を進めていきます。

治療

治療にはエンセファリトゾーンの病原体を抑制する薬を用います。また、二次的な食欲不振や二次感染等の治療も徹底して実施しなければなりません。

予防

多頭飼育において病原体の蔓延が知られているため、ウサギ同士の接触や同居飼育には注意が必要です。飼育ケージや食器等の環境の消毒も重要です。

注:ここでの感染率とはE.cuniculiのIgG抗体の陽性率を表します。

 

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